SaaS(Software as a Service)は、この15年間でソフトウェア業界を根本的に変えました。初期費用ゼロ、月額課金、常に最新版。これほど合理的なビジネスモデルはなかなかありません。しかし、AI時代の到来により、SaaSの構造的な限界が見え始めています。
SaaSの前提:「みんな同じ」が壊れ始めている
SaaSのビジネスモデルは、多数のユーザーが同じソフトウェアを使うことで成り立っています。開発コストを多くの顧客で分割し、共通の機能を提供する。これにより低コストで高品質なソフトウェアを提供できる。
しかし、この「みんな同じ」というモデルには限界があります。業務フローは企業ごとに異なり、データの構造も、意思決定のプロセスも、業界や企業規模によって千差万別です。SaaSはこの差異をカスタマイズ機能や設定オプションで吸収しようとしますが、根本的な業務の違いまでは対応しきれません。
AIが求める「個別最適化」とSaaSの矛盾
AIの最大の強みは、個別のコンテキストに応じた最適化です。同じ業種でも、A社とB社では最適な答えが異なる。AIはそれぞれの企業のデータから学習し、個別最適を提供できます。
ところが、従来型SaaSの設計思想は「汎用性」です。全顧客に同じロジック、同じデータモデル、同じUIを提供する。AIの個別最適化能力を十分に発揮するには、このSaaSの構造自体が制約になります。
具体的な限界例
- データモデルの硬直性:SaaSのDB設計は汎用的であるがゆえに、特定の業務に最適化されていない。AIが活用しやすいデータ構造になっていないケースが多い。
- カスタマイズの限界:設定画面で変更できる範囲には限界がある。業務フローがSaaSのデフォルトに合わない場合、業務側が合わせる「逆転」が起きる。
- データのロックイン:SaaSにデータを預けると、他のシステムやAIツールとの連携が困難になる。APIが提供されていても、データ構造の変換に多大なコストがかかる。
- アップデートの一律適用:全顧客に同じアップデートが適用される。自社に不要な機能追加やUI変更が勝手に行われることへの不満は根強い。
AI時代に求められる新しい設計思想
1. データファースト
ソフトウェアの設計をUI/機能から始めるのではなく、データの流れから始める。どのデータを、どう収集し、どう蓄積し、どう活用するか。この設計がAI活用の基盤になります。
2. 適応的アーキテクチャ
一律のロジックではなく、企業ごと・ユースケースごとに最適化可能なアーキテクチャ。AIが学習・適応するための余地を設計段階から組み込む。
3. オープンデータ設計
データは特定のSaaSに閉じ込めるのではなく、他のシステムやAIツールから容易にアクセス・活用できる形で保持する。データポータビリティの確保が、AI活用の自由度を高めます。
パシャ勤怠の設計思想
パシャ勤怠の開発では、まさにこの「AI時代のソフトウェア設計」を実践しています。
- JSONL形式のデータ設計:RDBではなくJSONLでデータを保持。柔軟なスキーマ変更とAIによるデータ活用を容易にする。
- AIネイティブ設計:OCR読取にAIを活用し、データの入力からAIを組み込む。後付けのAI機能ではなく、設計の根幹にAIがある。
- データエクスポート前提:Excel・CSV・PDF出力に対応。データのロックインを起こさない設計。
SaaSの「次」を見据えて
SaaSが無くなるわけではありません。しかし、AI時代には「汎用SaaSをそのまま使う」だけでは企業の競争力は生まれません。自社のデータ・業務に最適化されたAI活用が差別化の源泉になります。
TechJapanは、AI Integratorとして、SaaSの限界を超えた個別最適のAI活用を支援しています。汎用ツールでは解決できない、あなたの企業固有の課題に向き合います。
SaaSの限界を感じている方、AI活用で競争力を高めたい方はお気軽にご相談ください。
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