「PoCは成功しました。でも本番導入は見送りです。」
AI導入プロジェクトで、何度この言葉を聞いたかわかりません。経済産業省の調査でも、AI導入に着手した企業のうち約7割がPoC(概念実証)段階で停滞していると報告されています。なぜこれほど多くのプロジェクトが「PoCの谷」に落ちるのか。
PoCが「成功」しても本番に進めない3つの理由
理由1:PoCと本番の間にある「統合」の壁
PoCは多くの場合、隔離された環境で実施されます。きれいなサンプルデータ、限定されたユースケース、理想的な条件下でのテスト。しかし本番環境には、レガシーシステムとの接続、不完全なデータ、例外処理、セキュリティ要件が待ち構えています。
この「統合」の壁を越えるには、PoCの段階から本番環境の制約を想定した設計が必要です。特に既存システムとのAPI連携、データパイプラインの設計、エラーハンドリングは、PoCの時点で検討しておくべき事項です。
理由2:ROIの見えにくさ
PoCでは「こんなことができます」を示せても、「これでいくら節約できます」「いくら売上が増えます」を定量的に示すのは難しい。意思決定者は技術的な可能性ではなく、ビジネスインパクトで判断します。
PoCの計画段階で、測定すべきKPIを明確にし、現状のコスト・工数と比較可能なデータを取得する設計にしておくことが重要です。
理由3:現場の「使えない」
最も根深い問題が、現場でのユーザー受容性です。AIの精度が95%であっても、残り5%のエラーを現場が許容できるかは別問題です。特に製造業の現場では、長年のやり方を変えることへの抵抗が強い。
パシャ勤怠の開発で最も注力したのは、この「現場の受容性」です。紙の出勤簿というすでに存在するワークフローを変えず、スマホで撮影するだけという最小限の変更で新しい価値を提供する。既存の業務フローを壊さずにAIを組み込む設計が、PoCから本番への移行を成功させる鍵です。
PoCを「本番への通過点」にするための設計
1. ビジネスゴールから逆算する
技術検証が目的のPoCと、本番導入が目的のPoCは、設計が根本的に異なります。「何ができるか」ではなく「何を解決するか」を起点にPoCを設計することで、本番移行の道筋が見えてきます。
2. 本番環境の制約を織り込む
PoCの段階から、本番環境のデータ品質、システム構成、セキュリティ要件を把握し、それらの制約下で動作する設計にしておく。理想的な環境での検証は、PoCとしては無意味です。
3. 段階的な展開計画を持つ
「PoCの次は全社展開」ではなく、特定の部署・ラインでのパイロット導入を経て、段階的に拡大する計画を持つ。各段階でのKPI設定と効果測定を組み込んでおくことで、意思決定者への報告もスムーズになります。
AI Integratorの役割
PoCから本番への移行で最も難しいのは、技術とビジネスの両方を理解し、現場のオペレーションに統合する力です。AIの技術力だけでも、ビジネスコンサルティングだけでもダメで、両方を橋渡しする「AI Integrator」の存在が不可欠です。
TechJapanでは、AI導入を「AI Strategy → AI Integration → AI Operations」の3フェーズで体系化し、PoCが「本番への通過点」となる設計を支援しています。
PoCで止まっているAIプロジェクトを本番に進めたい方、まずはお気軽にご相談ください。
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